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Taca (清水貴博 アコーディオニスト/作曲家)


Taca (清水貴博-しみずたかひろ) 1977年岡山県生まれ。9歳でアコーディオンを始める。地元の大学在学中にイタリアに留学。2001年渡仏。2005年、オーベルヴィリエ・クルヌーヴ音楽院(CNR de Aubervilliers-Courneuve )アコーディオン科を首席で終了する。演奏、作曲の他、現在では映画音楽などにも携わり、パリを拠点に幅広く活動。

 

ジャズ・アコーディオンのメッカ、

パリで奏でる故郷の音色

 古き良きパリを想像するときに、耳の奥で鳴り響いてくるのがアコーディオンのどこか懐かしい音色。現在では、ポップ音楽にまで幅広く用いられているアコーディオンがジャズ楽器として栄えたのが、パリだと言われている。そのジャズ・アコーディオンのメッカ、パリに斬り込んだ一人の日本人アコーディオニストがいる。

小学校の先生に倣って

Tacaさんがアコーディオンと出会ったのは、彼がまだ小学生の頃の事。アコーディオンをたしなんでいた小学校の先生とアコーディオンの先生が、生徒のために開催した体験教室に友人と共に参加した。親に「アコーディオンをやりたい」ときちんと意思表示した上で、習わせてもらうことになったTacaさん。子供用の小さなアコーディオンをレンタルしてもらい、週一回自転車で教室に通った。

 始めた当初は小学校の同級生なども含めたグループレッスンだったが、段々と生徒が減っていき、最終的にはほぼ個人レッスンと化していた。「当時好きだった女の子も同じ教室に通っていたんですけど、途中でやめちゃって寂しかったです」と思い返す。

 子供ながらに熱心に練習を重ねた結果、始めて2年も経つと、小さなアコーディオンでは弾ける曲もなくなってきたので、中古の「大人用の」アコーディオンを買ってもらった。「いろんなスイッチが増えていて、音も増えるし、できる曲も増えるしで、すごく嬉しかったのを鮮明に覚えていますね」。

 中学では、野球部に所属。思春期の少年ながら、「アコーディオンをやっているのがなんだか恥ずかしくって、他の人には内緒にしていた」のだという。高校生の頃、誕生日プレゼントに両親から、世界的に活躍する日本人アコーディオニスト・cobaのアルバムを贈られ、そのジャンルに捉われず、自由に展開する演奏に衝撃を受けた。「めっちゃかっこいい…」。

アコーディオン科がある場所へ

 高校卒業後、地元の大学に進学した頃には、週一回大阪まで通いレッスンを受けるようになっていた。ツアーで日本を訪れていたフランス人アコーディオニスト、リシャール・ガリアーノの神戸公演で彼の奏でる音に触れ、感銘を受けたTacaさん。この頃から、真剣に将来のことを考えるように。「これから先もアコーディオンを続けていくにはどうすればよいのだろう」。こうして、アコーディオンの先輩(先生の息子さん)、そしてTacaさんの憧れの人でもあるcobaさんもが留学していたというアコーディオンの本場イタリアへ、cobaさんの兄弟子が教授を務めている音楽院へと、彼も留学することを決意する。一年休学することと大学に届け出はしたものの、その後も日本に戻ることなくヨーロッパに留まることとなる。



 そもそもアコーディオンとは、19世紀初頭オーストリアにおいてその原型が発祥したと言われている鍵盤楽器。その表現力の豊富さから人気が高まり、大規模な製造業者が現れ始める。その中の一つがイタリア。現在も世界一の製造量を誇っている。自然と演奏者も増え、クラシック・アコーディオンの聖地とも言われるようになったイタリアの地でアコーディオン文化に触れ、リシャール・ガリアーノのイタリア公演を幾度も見る機会を得、「ジャズ・アコーディオンを学びたい」と思うようになったTacaさん。そして、そのジャズ・アコーディオンのメッカと言われているのが、パリだ。





ジャズ・アコーディオンのメッカ、パリへ

 「古き良きパリ」を連想する際、必然的に浮かんでくるのが、20世紀、一世を風靡したパリ・ミュゼットという、アコーディオンを中心のアンサンブルによって演奏される大衆音楽。当時のパリっ子は、軽快でありながらどこか哀愁を帯びたその音楽が流れる酒場で、酒を酌み交わし、語らい、そして踊った。そしてそれとは別にパリで栄えたのが、1940年代以降、サンジェルマン・デ・プレを中心に大流行したジャズ音楽。ジャズ界の伝説ともなった数々の演奏者(例えば、チャーリー・パーカー、マイルス・デイビス、デューク・エリントンなど)の奏でるリズムは、パリっ子たちを熱狂させた。この背景の中、アコーディオンもジャズ楽器として昇華したのだ。学生の頃に衝撃を受けた、ジャズ・アコーディオンの第一人者リシャール・ガリアーノの影響もあったのだろうか、Tacaさんも「ジャズがやりたい」と向かったパリ。「イタリアに行ったらcobaになれる。フランスに行ったらガリアーノになれる、って思っていた」と笑うTacaさん。有名な先生の元でレッスンを受けるが、音楽の方向性が違うことに気づき、ここで再度「自分のやりたいアコーディオン」を認識。ジャズ学校に登録し、3年間通うこととなった。また、より高度なテクニックを学ぶため、2005年に仏クルヌーブ・オーベルビリエ国立地方音楽院(コンセルバトワール)アコーディオン科に入学。クラシック・アコーディオン・和声を学び、学科を首席で修了する。

「ルーツに基づいた」曲作り

 2000年からは初心者、近年では音楽院のジャズ科を志す人にアコーディオンを教えるようにもなった。日本人、フランス人と同じくらいの需要があるという。劇団での演奏、バックバンド、歌の伴奏の仕事なども入るようになり、着実と活動の場を広げていったというTacaさん。ビザの切り替えを機に、ツアーも兼ねて2006年、一旦日本に帰省。約2か月間、地元岡山はもちろん、関東・中部・関西・中国地方を周り、地元のアーチストとの共演、そしてソロと言う形で自身の曲も演奏していった。

©Shun Kambe

独学で作曲も始めたというTacaさん。背中を押してくれたのは、憧れのアコーディオニスト、リシャール・ガリアーノ。それは2000年、初めて彼の自宅に招待された際に「自分の曲を作りなさい。ルーツに基づいた音楽を作りなさい」と言われたことがきっかけだった。そこには、ニューミュゼットという新ジャンルを創造し、「踊るための音楽」、「聴くための音楽」の境界線を見極めた、達人の想いが込められていたのではないか。そんな彼に倣い、Tacaさんも自身のルーツと向き合うようになる。東洋、そして日本。生まれ育った田舎の風景、夏休みを過ごした田園風景。アコーディオンという、一つの楽器でメロディーと伴奏を幅広く、同時に演奏できる特性を活かし、自身の物語を展開していく。そうするうちに、異国人と言う自分を意識するようになり、その度に、「自分はフランス人にはなり切れない。だからこそ、日本人の良いところを大事にしていきたい」と思うようになった。

自分にできること

 2010年からは、SAMURAIアコーディオニストと称し、袴姿で演奏することが多かったというTacaさん。フランスの地だからこそ培うことができたサムライ・スピリット、「日本人」をアピールした。現在では「演奏で一本勝負」するため、袴をはくことは少なくなったが、これが日本人としての自分を再認識するきっかけの一つにもなったというTacaさんは、東日本大震災直後、海外在住の日本人、という自分でもなにかできるのではないか、とアコーディオン抱えて被災地を周り、チャリティーライブを行った。彼の音楽に聞き入る被災者の方々を見て、一時だけかもしれないけれど、辛い現実を和らげることができたのではないか、と感じたのだという。その後もNPOや楽器メーカーの協力を募り、また自身のCDの売り上げから一部寄付をするという形で、パリで立ち上げられた被災地支援団体を通して、地元の小学校にアコーディオンを毎年一,二台づつ贈っているのだとか。「これを機に始めてくれる人がいるかもしれない。それが苦しみの中、希望となってくれたら」と切に願う。



残るものを作っていきたい


 アコーディオンの本場パリでアコーディオニストとして生きる日本人。古き良きパリを偲ぶパリ・ミュゼット・リバイバルもその理由の一つなのだろうが、他の地に比べて、アコーディオン奏者は俄然多い。ライバルの多いこの業界で生きていくためには、常に進化していかなくてはいけない、と日々痛感しているというTacaさん。2015年から二年間ジャズの学校に通いなおし、ジャズのアレンジ,ハーモニー,インプロビゼーションを学んだ彼は、映画音楽にも携わるようになった。短編映画のアレンジを担当した直後、今度は長編映画の音楽の依頼が舞い込んできた。監督が既にイメージしている曲をそのまま書き写していくこともあるが、台本を読み、浮かび上がってくるTacaさんオリジナルのメロディーを起用することもある。曲を映像と重ね合わせ、アレンジを加えていく。監督に提案した上で、変更や補修を繰り返す。根気を要する作業だが、実績を積み、たくさんの作品を残していきたい、と願うTacaさんにとって大変貴重な経験だ。「ライブはもちろん大事。週に一度はカフェで演奏し、シャポー(帽子)で集金することも仕事の一環。だけど、やっぱり形に残るものを作っていきたい」。その為にも、常に曲を作り、アルバムの制作にも力を入れている。


©Shun Kambe



 自分の音楽を作っていきたい。「これはTacaの音楽だ」と思ってもらえるようになりたい。ジャズ・アコーディオンのメッカ、パリで、アコーディオニストとして世界に認められたい。それが彼の理想であり、夢でもある。



 ツアーも兼ねて、日本に帰省する際には、小学校時代の先生 -Tacaさんにアコーディオンを初めて教えてくれた恩人- 宅のチャイムを鳴らしにいくのが楽しみ、と語るTacaさん。自宅の教室から羽ばたいていったかつての教え子のその後の活躍を、「嬉しく思ってくれているみたいです」と照れながら、抱えたアコーディオンの鍵盤をいじるTacaさん。ボタンの数だけではなく、レパートリーも、メッセージも増えた現在の彼が奏でる旋律に、目を細めて聞き入る先生の姿が目に浮かぶ。





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Tacaさんが定期的に演奏している場所

©Shun Kambe

シェ・アデル

オーナーのアデルさんと

毎週定期的にSoloライブかSoiree japonaise企画で演奏している。

CHEZ ADEL

10 Rue de la Grange aux Belles, 75010 Paris

+33 1 42 08 24 61

メトロ Jacques Bonsergent

ペニシュ・ル・マルクネ

Peniche Le Marcounet

Port des Célestins,

Quai de l'Hôtel de ville, 75004 Paris

+33 6 60 47 38 52

http://www.peniche-marcounet.fr/

10/16(月)に新しいアルバムから、弦楽四重奏(Les Enfants d’Icare)+ベース+ドラムでバースデースペシャルライブが開催されます。

ライブ情報は

ライブがはねたら、クスクス

 特別な時以外には外食はしない、というTacaさん。健康管理のためにも、意識的にできるだけ野菜を摂ることを心掛けているという。農家直送の新鮮な野菜がずらりと並ぶ近所の八百屋で材料を調達し、バランスの取れた簡単な料理を作るのだとか。それでも、曲作りの期間は、なかなか食事のことにまで気が回らない。またライブがはねた時間帯、疲れた体で料理を作る気になれない。そんな時利用するのが、近所のケバブ屋さんでのクスクス。がっつりいけて、野菜もたっぷり、腹を満たしてくれる上に、お財布にも優しいので、健康のことは気にせずに開き直るのだそう!「パリでのライブ後はラーメンの代わりにクスクスがおすすめ!」


Tacaさんご用達の店

Alesia Food

223 rue d Alesia, 75014 Paris, France

+33 (0)1 45 39 28 02

営業時間 10時半-26時

無休

メトロ Plaisance

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お知らせ

tacaニューアルバム

”Quarante”

2017年11月16日発売 3000円(税別)

試聴はこちらから

CD発売記念ツアーの各ライブ会場で販売。通販もしてます。

詳しくはこちらにメール下さい。

40周年記念アルバムを製作してて、そのツアーが10月後半から日本であります。詳しくは下記のリンクをご覧ください。

(ツアー情報:追加公演もこちらにアップいたします)

NEW CD「Quarante」発売記念ツアー(2017/11/3-10)

taca(Acc)

佐々木優樹(gt)

鳥越啓介(cb) ※ 11/7は不出演

山下佳孝(dr)※ 11/2,3,10は不出演

11/3(金)倉敷”木庵”

11/4(土)広島県呉”5COFFEE MARET”

11/5(日)広島江田島”がんねムーンビーチ”

11/6(月)岡山”今屋マーサー”

11/7(火)伊勢”楓林”11/8(水):名古屋”Star Eyes”

11/9日(木)浜松 “HERMIT DOLPHIN”

11/10日(金)六本木"Claps" with 会田桃子 String Quartet ,相川瞳(Per)

”Al Niyat/アルニヤト”ユニット名決定記念ツアーツアー(2017/10/28-11/18)

taca(Accordion)

佐々木優樹(Guitar)

10/28(土)いわき”One note cafe”

10月29日(日)仙台"Jazz Me blues noLa”

11/1(水)水戸”ガールトーク”

11/16(木)静岡”スノドカフェ七間町店”

11/18(土)春日井”イタリア料理ダルバァッヴォ”

11/20(月)大阪”♭Flamingo”

11/21(火)大阪 Galerie Tzigane(ギャルリーチガーヌ)

11/23(木)岡山”喫茶壱番館”

taca-WoodBlast with 佐々木優樹ツアー

11/24(金)広島”Log”

11/25(土:昼)広島”レインボー倉庫”

11/25(土:夜)広島国際映画祭

Remerciements:

Taca, Paris Accordéon, Paris Anim'

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