#ParisMonogatari 

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© 2016 by エフ・エム・エス / Emi CHATEAU-HIRASAWA

犬田ゆり(チーズ専門店勤務)

 

 

Yuri INUTA(いぬた ゆり) 東京都まれ。大学在学中、フランスに留学。チーズに出会う。卒業後、株式会社フェルミエ・本店に販売員として就職。2010年ワーホリビザで再度渡仏し、フロマジュリー・マルティーヌ・デュボワ(FMD)で勤務。日本帰国後再度フェルミエにて、販売、チーズプラトー展開に貢献する。2014年、フランスに戻りFMDで勤務。

 

 

 

 

 

フランスで出会い、日本で噛みしめた

チーズの素晴らしさを伝えたい

 

 

フランス滞在期間中、めぐりあった様々な「美味しいモノ」の中から、犬田ゆりさんが情熱を捧げようと決めたのが、フランス人の食卓に欠かせない食材の一つ、チーズ。日本とフランスのチーズの現場を行き来するうちに、生産者がこだわりを持って作り上げていくチーズの奥深さに魅了されていった。その感動と素晴らしさを一人でも多くの人に知ってもらいたいと、パリ老舗チーズ店で、店頭に立つ。

 

 

パーティーのチーズビュッフェを手がけることも。

 

 

フランス滞在を大満喫

 

  幼い頃から料理、特にお菓子つくりが好きだった犬田ゆりさんは、パティシエになりたい、と思っていた。そのためにもまずは食の基礎から学ぼう、と大学の栄養学部に進学。パティシエになったら役立つだろうと選択した第二外国語・フランス語の授業だけでは物足りなく感じ、どうせ学ぶのだったら本場で、と大学二年生の夏休み、一か月間パリに留学することにした。生まれて初めての海外。「夢に描いたような」ホームステイ先では、仏人女性のホストマダムが、腕を振るって美味しいフランスの伝統料理を用意してくれた。「いつもいつも感激して、毎回写真を撮っていたので、よく笑われていたんですよ」とちょっと恥ずかしそうに笑う。午前中は語学学校でフランス語の授業を受け、午後は市内を、そして週末はパリ近郊を「観光三昧」。フランス滞在を大満喫した。

 

 

 

 フランスという国や文化にどんどん魅せられていく自分を認識し始めたところで、日本に帰国。「つまらないわけではないのだけど、何か物足りない」という想いにとりつかれたようになった。そんな犬田さんを見かねてか、「またフランスに行ったら?」と言ってくれたのが、小さい頃から常に「本物を見なさい」と言っていた母親だった。

 

 

お客様の召上る時に合わせて、ベストな状態のものを選ぶ。

 

 

 

これがチーズだ!

 

  大学3年の一年間を休学し、再度渡仏した犬田さん。始めの半年間滞在したのが、フランス東部、イタリアに国境を接する山岳地帯サヴォワ県のシャンベリという地方都市。チーズの生産が盛んな地域だ。家を一歩出ると、のどかに牛が草を食む風景が広がる「田舎」での生活には戸惑うことが多かったが、徐々に新しい生活リズムにも慣れていった。ホームステイ先では毎食後、今まで味わったことのないようなチーズ(主にトム・ド・サヴォアやモルビエといった、地元近郊産のもの)が当たり前のように出てきた。語学学校の野外見学でボーフォールというサヴォワ特産のチーズの作り手を訪ねる機会があった。その際に試食させてもらったボーフォールがあまりにも美味しくて、ショックを受けたことを鮮明に覚えているという。「これがチーズだ!」。

 

 

 シャンベリ滞在後半に独り暮らしを始め、自分の台所を持つようになってからは特に、チーズ専門店に通い、その土地のチーズを薦めてもらっては試食させてもらうようになった。

 中でも、ブルー・ド・テルミニヨンと言うチーズ(青カビ菌を製造段階で人工的に加える一般的なブルーチーズと違い、熟成庫内で自然発生したカビにより熟成させたもの。希少ゆえパリでもなかなか手に入らない)を初めて口にした時の感動は忘れられない。その後も、チーズ熱の勢いは増す一方。そして、古本屋で購入した、フランスのAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(Appellation d'origine contrôlée)-原産地呼称統制に指定されたもの)チーズのリストが記載されたチーズの図鑑を手に、「滞在期間中に制覇する!」と目標を立てた。

 

古本屋さんで見つけた Encyclopédie des fromages - guide illustré de plus de 350 fromages de toutes les régions de France (山田友子・増井和子著)- フランス全地域、約350種ものチーズが説明されているチーズ辞典。著者が日本人だと知って驚いた。

 

 

もらったチップの分だけチーズを買う

 

  半年の語学学校期間を終えて、今度は別の地域にも行ってみたい、と向かったのがフランス西部の大都市ボルドー。語学学校に通う傍ら、週末の夜は日本食レストランでアルバイト。日曜の朝には、もらったチップの分だけチーズを買うように決めた。ボルドーは言わずと知れた世界有数の銘醸地であるが、チーズの産地ではない。しかし、ポワトゥー・シャラント、ペリゴール、ピレネーと言った近辺地域のチーズが数多く手に入る。サヴォワでは見たこともないようなチーズを数々発見し、どんどんチーズにはまっていく自分を実感した。また、ソムリエや醸造家など、ボルドーには世界各地からワインを勉強しに来ている人が集まっており、そんなワインに従事する日本人との出会いにも恵まれた。年齢的にお酒を飲み始めたばかり。美味しいワインを教えてもらっては吸収し、ワインとチーズのマリアージュも楽しむことができた。

 

 

日々熟成し変化していくチーズは二つとして同じものには出会えず、長年チーズに携わっているかといって、「決して飽きることはない」。

 

 

 まとまった時間を見つけては地方を旅し、その土地のチーズや名産品を食しワインを飲んで周った。フランス語もめきめき上達し、帰国前に受験したDELF(フランス国民教育省が認定した唯一の公式フランス語資格)も無事取得。チーズとワイン両方を知ることができた上に当初からの目標でもあったディプロム取得も叶った、大変充実した一年を過ごした後、帰国したのだった。

 

 

 

赤ちゃんにも勧められる食品

 

  2006年春、大学の栄養学科に復学し心機一転勉学に励んだものの、就職活動を始める際、心の中に「いつかまたフランスで暮らしたい」という想いが膨らんでいたことに気付く。栄養士と言う選択肢ももちろんあったが、自分が知り得ることができたフランスの素晴らしいことやモノを日本でも多く知ってもらうためにも、フランスの食品を専門とした職業に就きたいと思った。

 

夏のアルプスでのびのび放牧されるサヴォワの牛たち。各地の生産者を訪れるのは、何よりの勉強。

 

 

 そこで、チーズかワインだな、と考えた。しかし、ワインは既に広く知られている上に、専門に活躍している日本人は数多くいる。ボルドーで出会ったワインのプロたちのことがふと頭に浮かんだ。「あの人たちにはどうやっても敵わないだろう」。また、お酒が飲めない姉とは、どんなに詳しくなっても決して一緒に飲むことができない。「それもなんだか寂しいな」とも思った。

 当時日本ではワインほど知られていなかったこともあるが、決定的だったのが、チーズには(年齢)制限がないということ。「赤ちゃんにも勧めてあげることができる。たくさんの種類があるから、口に合うチーズを見つけてあげることができる」。また、栄養観点からいっても、カルシウム、ビタミン、ミネラルが豊富なチーズは、自分が求める「美味しくて健康に良い食品」そのものだ、と確信した。

 チーズの仕事とはいっても、具体的にどんなものがあるのだろう。大学の図書館に蔵書されているチーズ関連の本を読み漁った。すると、頻繁に出てくる名前があった。

 

本間るみ子さん。

 

ナチュラルチーズ専門店フェルミエの社長(現会長)で、後に犬田さんのチーズ人生に大きな影響を与えることになる人だった。

 

 

いつも同じチーズしか買わなくて…というお客様が意外に多いので、好みを伺いながら新しいものを提案していくことも。

 

 

 

日本でのチーズ専門会社に就職

 

 早速、本間社長宛てに手紙を書いた。チーズに対する情熱のこと。フランスでの滞在のこと。「新卒採用はしていない」と返事が来たが、大学四年の夏、運良く本間社長と面接してもらえることになった。犬田さんの情熱が伝わったのか、秋からまずはアルバイト店員として始めることとなった。

 

 フェルミエは、ヨーロッパのチーズを日本に広めることに大きく貢献した、いわゆるチーズ界のパイオニアのような輸入会社。農家の手作りチーズを日本に届けたいという本間社長の願いから、生産者とのつながりを大事にしている。犬田さんが配属となった愛宕本店では、店内こそ主要チーズが並べられているが、裏のカーブ(保存室)には何百種類ものチーズが揃っており、その中からお客様が求めているようなチーズを選び、勧めることができた。

 フェルミエ本店のお客様は主に、「チーズがすごく好きな方々」。接客するにあたって、お客様よりチーズの知識がないわけにはいかない。そこで、猛勉強を開始する。扱っているチーズをひとつづつ試食し、特徴や印象など細かくメモを取っては、相性の良さそうな食材や飲み物を想像し、更に試食を重ねた。また、フェルミエではフランスチーズだけではなく、イタリア、スペインやオランダといった他の西欧チーズも扱っていたため、犬田さんは更に幅広くチーズの知識を身に着けるためにも、勉強・試食を重ねた。

 

本間るみ子氏と。犬田さんがフェルミエを退職する際に。

 

 

チーズ界の重鎮に鍛えられて

 

 三年間、「とにかくたくさん吸収させてもらった」と犬田さん。しかし、「そろそろまたフランスに行きたい。今度はパリに行きたい」と言う予てからの願いを叶えるため、ワーホリを申請し、フェルミエを退社する。本間社長は「惜しんでくれた」が、チーズの勉強をもっとしたいと正直に話すと、「頑張ってきなさい」と後押しをしてくれる。パリのランジス市場よりフェルミエにチーズを卸してくれていた業者のクリスチャンに掛け合い、パリでの仕事の口利きをしてくれたのだ。それが、フランスチーズ界の重鎮マルティーヌ・デュボワ女史のチーズ店、フロマジュリー・マルティーヌ・デュボワ(フロマジュリーは仏語でチーズ屋と言う意味。以下、FMD)だった。

 

 

お客様が家に帰って包みを開けた時に、がっかりされることがないように。そのチーズの特徴に合わせて一つ一つ丁寧に包装する心遣いは、日本人ならではなのか。

 

 

 2011年秋、渡仏後すぐに仕事を開始した犬田さん。切る・包む・そして知識と、チーズ屋販売員のスキルは既に習得してはいたが、そこで彼女を悩ませたのが、言葉の壁。チーズの名前はわかるが、例えばお客様に「あじわい」や「食べ方」の説明をする際など、細かく伝えることができず、もどかしさが募った。また、マダム(デュボワ)は、特に新人に対して大変厳しく、入社して一か月の間は、何をするにおいても全てにダメ出しをされ、毎日のように怒鳴られた。「今から考えると、私のフランス人生の中で、一番つらい時期でしたね」と、思い返すのさえつらそうな様子。「一年続けていくのは無理かもしれない」と、クリスチャンに相談すると、「大変だろうけど、一年間彼女の所で修行をしたら、どこでも通用できるほど成長できる」と諭された。決意改め仕事に打ち込み、12月、年内切っての繁忙期を乗り越えると、チームの仲間、そしてマダムの対応がなんだか柔らかくなっており、「受け入れてもらえてるのかもしれない」と思えるようになったのだった。

 

 

常連さんが 「サヴァ、ユリ?(ゆり、元気?)」 と声をかけてくれるようになった時は、とても嬉しかった。

 

 

 

美味しくさせる最後の手伝い

 

 当たり前のようだが、フロマジュリー、チーズ専門店とはチーズを販売する店のことである。とりわけ世界中から客が訪れるパリのチーズ専門店では、仏全土のチーズを取りそろえ、様々なニーズや食べ方を提案できることが求められる。当初は「フランス人はチーズ屋でチーズを買うんだ」と思い込んでいたが、大型スーパーの充実した乳製品コーナーでチーズを買う人の方が多いことに驚いた。中には美味しいものももちろんある。しかしほとんどが大量生産のチーズ。伝統チーズを守る、とりわけ昔ながらの製造方法を守り続ける生産者の作るチーズを販売することもチーズ屋の使命なのだと知った。

 

FMDオリジナルの、フレッシュトリュフをふんだんに作ったチーズたち。マダムと二人で研究開発し、現在、トリュフ入りチーズは一括して犬田さんが担当している。格別思い入れのあるチーズたちだ。

 

 

 しかし、チーズ生産者から仕入れ、売る「だけ」ではない。それぞれのチーズを必要に応じて地下の熟成庫でさらに追熟させ、一番美味しい頃合いを見計らって店頭に並べるのだ。また、店ならではのオリジナル商品を販売することもある。例えば、ブリ・ド・モーにトリュフをはさんだり、カマンベールをカルヴァドスで熟成させたりと、仕入れたチ−ズに一手間加え、その店ならではのチーズに昇華させる。

 マダムは、MAITRE AFFINEUR(アフィヌール=直訳すると、精錬させる人。業界用語では熟成士)と言う呼び方を嫌い、敢えてMURISSEUR(ミュリスール=熟させる人)と自身を称する。「だって、本当の意味で熟成させているのは現地の生産者(PRODUCTEUR)や熟成士(AFFINEUR)たち。もちろん私たちも最後の段階で追熟させるけれど、自分がAFFINEURと言ってしまうのは、それを本業としている彼(女)らに対して失礼だわ。私たちのミッションは、まず届くチーズの状態を悪くしないこと。そしてチーズを美味しく食してもらうための最後のお手伝いをすることよ」。

 

 

犬田さんが日本からの土産で持ち帰った「桜の葉」に、興味を持ったマダムが「開発」した、ヤギチーズ・ベースのYAGUI-SAKURA。

 

 

100グラムの重み

 

 FDMを訪れる客は、ほとんどが常連、それも親子代々で通ってくる人も少なくない。チーズを買いに来るだけではなく、まるでお話をしにいらしているみたい、と面白そうに話す犬田さん。そんなお客様に「助けられた」と思うのは、おぼつかない仏語の接客にも、嫌な顔もせずに理解しようと努力してくれたり、仏人の中ただ一人の日本人店員に対しても、「普通に」接してくれたから、と言う。語学では仏人同僚に敵うわけないのだから、せめていつも笑顔で丁寧に接客をし、気持ち良くお買い物してもらうことを心掛けるようにした。こうして、あっという間に一年が過ぎた。

 

 

 

 日本に帰国した犬田さんは、本間氏の誘いでフェルミエ・愛宕店の店長として再就職することになった。

 本場フランスでの経験を活かしながら接客するうちに、日本とフランスではチーズに対して求めているものが違うということに改めて気付かされる。チーズが生活の一部として認識されているフランスでは、自分の好みをよく知る客が当たり前のように買っていってくれる。しかしチーズ文化のない日本では、味わいの説明を細くしたり試食を出したりしながら、まずはお客様の求めるチーズを一緒に探る作業から始める場合の方が多い。「食べてみたい」と思ってもらえるチーズを見つけてもらってはじめて、「100グラム」買ってもらえるのだ。キロ単位で値段表示がされているフランスのチーズ屋では、「これくらい」と目分量で買っていく客が多く、100グラム分のチーズを切ることはほとんどない。そのため、正直「感覚が麻痺していたのではないか」と振り返る。フランスでだって、チーズは決して安価ではない。しかし、高い関税が課せられる日本では、フランスの3倍近い価格がするほど超高級品。100グラムの小さな一切れを大切に大切に食べてもらえる日本で販売しているうちに、「100グラムの重みを認識し、初心に返れた」。そして、それは以来犬田さんの販売哲学として常に根底にあるという。

 

 

 

チーズを美しく盛り付ける

 

 FMDでの勤務期間、チーズ・プラトーという、数種類のチーズを盛り合わせが制作されているのを見かけることが多々あった。伝統的には食後・デザートの前、現代ではアペリティフや立食ビュッフェなど、様々なシーンで供される美しく盛り付けられたチーズたちにうっとりしながら、「日本でも絶対流行るだろうな」と思った。チーズ・プラトーは当時フェルミエでももちろん請け負ってはいたが、注文が来ることは珍しかったため、これから積極的に展開していこう、と営業を開始。すると大きな反響があった。「彩りや量を決めて限られたスペースに盛り付けていく。チーズプラトーって、お弁当に似てるんですよね」。店長という役職についてからスタッフの育成も仕事の一部となっていた犬田さんは、チーズ・プラトー制作を通して、チーズのノウハウを教えることも怠らなかった。着席・立食、季節…TPOに合わせて、美味しいチーズを美しく盛り付ける作業は、「とても楽しかった」と振り返る。

 

フェルミエ退職前にてがけた、ウェディング用のプラトー。

 

 しかしその一方で、またフランスに行きたいという気持ちは膨らんでいくばかり。年に3回はパリに行き、その都度マダム デュボワに挨拶はしていたが、ある日思い切って「正社員として雇用してもらえないか」と尋ねてみると、快諾してくれ、滞在許可証取得のため動いてくれた。そして2014年夏、フェルミエ社を退職し、再度渡仏。FMDで正社員として勤務するようになった。

 

 

近々現役を退くことが決まっているマダム デュボワ。フロマジェールの仕事はもちろん、フランスで生きる一人の女性として大切なことをたくさん教わった。

 

 

チーズの素晴らしさを知ってもらいたい

 

 ワーホリ期間中こそ任せてもらえる仕事にも限りがあったが、正社員として働くようになってからは、マダムの要求も高くなった。日本人特有の器用さ、またその経験値も買われ、それまでマダムが一人で手掛けていたチーズプラトー制作のアシスタントを任されるようになった。アイデアはいっぱいだが、時間が足りないマダムの「こういうものが作りたい」という意向を実践していくうちに、犬田さんの意見も取り入れてもらえるようになり、一任されるようにもなった。フランスでは需要の高いチーズプラトー制作に明け暮れ、忙しい毎日だったが、大好きなチーズに携われる仕事の素晴らしさを噛みしめた。

 

マダムと。「ユリとは好みが合うの。チーズの話をするときの言葉の選び方も素晴らしいわ」。

 

 仕事が軌道に乗ってきてからは、チーズの素晴らしさを広めることに情熱を捧げている。ある方の勧めで、パリ在住日本人対象の「チーズ講座」を(不定期に)行うようにもなった。「せっかくフランスに住んでいるのに、チーズを知らない人が多いことに驚いたんです。種類が多すぎてわからないから、スーパーでいつも同じものを買う方や、チーズ屋さんに入ったことがない方が多い。こんなに美味しいのに、なんてもったいない!奥は深いけれど、決して難しくない。ちょっと知ってもらうだけで、全然違うんです」。

 ミルク、レンネット(凝乳酵素)そして塩だけを熟成させる。それだけなのに、驚くほどバラエティー豊かで栄養バランスに富んだ食品・チーズ。まさに、「自然の恵みと生産者の技が成し遂げる産物」なのだ。

 現在、日本のチーズ界も活発だ。チーズファンは増える一方だし、日本ならではのチーズを作り出す丁寧な生産者もどんどん現れている。

 

チーズをふんだんに使ったプラトーを日常に作れるのはフランスならでは。

 

 自分でチーズ屋をやりたい、とは思わないのですか?と言う問いに、犬田さんの真っ直ぐな眼差しが和らいだ。もちろん、志ある仲間に「一緒になにかやろう」と言われたら、心は動くかもしれない。「日本とチーズをテーマに、ほそぼそとやっていけたら、幸せかな?でも今はただ、誠実なチーズ販売員でありたい」。

 「ほとんど毎日」食べているというコンテを頬張りながら、笑う。

 

 

 

 

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犬田ゆりさんが勤務する

フロマジュリー・マルティーヌ・デュボワ

 

 パリ17区、バティニョール公園付近の住宅地を貫くトクヴィル通りに位置するフロマジュリー・マルティーヌ・デュボワ。所狭しに陳列されたチーズの中には、FAIT MAISON(フェ・メゾン=ホームメイド)と記されたものも多い。好みに合わせて丁寧に選んでくれるので、知らないチーズも思い切って試してみたくなる。種類によっては試食もさせてもらえるので、訪ねてみよう。チーズプラトーの注文も受けている。

 

 

FROMAGERIE MARTINE DUBOIS

80 rue de Tocqueville 75017 Paris

Tel : 01 42 27 11 38

営業時間

火-木・8時半-13時/16時-20時

金・8時半-20時00

土・8時半-19時45

日・9時-13時

月曜定休日

Métro : Malesherbes (3)

https://www.facebook.com/fromageriemartinedubois/

 

 

 

 

 

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犬田ゆりさんのお気に入りの店

 

レ・プレット・バティニョール

 

©lafourchette.com

 

 

マダムデュボワの息子、Ludovicさんが経営する店。

「ソムリエをしている奥さんJudithはカタラン人(スペイン人)で、Ludvicもスペインのレストランで働いていたので、スペインのエスプリを取り入れたフレンチレストラン。私も何度か行きましたが、毎回とっても美味しく、味に間違いありません」と犬田さん。

フロマジュリー・マルティーヌ・デュボワ同様、パリの新人気エリア、バティニョール界隈でもひと際人気なのだとか。(要予約)。

もちろん、FMDのチーズも食せるので、フランス人のように料理の一環として最高のチーズを!と言う人にも最適だ。

真横にPOUSSINSと言うワインバーもオープンしたばかり。

 

LES POULETTES BATIGNOLLES

10 rue de Chéroy 75017 Paris

Tel : 01 42 93 10 11

営業時間

火-土・12時半-14時/19時半-23時

日・月曜定休日

Métro : Rome (2)

https://www.lespoulettes-batignolles.fr/

 

 

 

 

Remerciements: 

Yuri Inuta, Madame Martine Dubois, Fromagerie Martine Dubois

 

 

 

 

 

 

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稲沢貴雄(料理人/「CUISINE」共宰)

ChibiRu(手ヅクリ家)

加藤亨延(記者)

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